身体の部屋

ジャパノロジーにナンバ歩き

2009 年 12 月 5 日 土曜日

NHKに、ジャパノロジーという番組がある。日本文化を海外に発信することを目的として、NHKの国際放送と総合テレビで放送されている。日本のことをよく知らない外国人にも、分かりやすく日本文化を紹介しながら、深い考察で日本人の価値観や美学を伝える番組である。

そのNHKのジャパノロジーから、取材依頼が来た。取り上げるテーマが「履物」ということで、それではナンバ歩きだろうということだ。江戸時代までの日本人は、草履、下駄、草鞋を履いて日常生活を送っていた。そして、着ているもの履物である。そういう装いで動けば、動きはナンバ的になる。当然、歩きはナンバ歩きである。

現代人の歩きは、前に振り出した脚の膝を伸ばし、踵から着地しようとしている。そして、拇指球で地面を蹴って前に進もうとしている。これを我々は、踏ん張っていると言っている。そして、このような歩き方は、靴で足が守られているから出来ることである。

下駄や草履では、踵から着地することは、とても怖くて出来るものではない。そして、拇指球で蹴って進もうとすれば、鼻緒を挟んでいる指の股が痛くて歩けないか、鼻緒が切れてしまう。

ナンバ歩きでは、前に脚を運ぶだけで、着地とか蹴るとかいうことは意識しないようにする。後ろになっている脚を、前に運ぶだけであるから、すり足のようになる。しかし、ナンバ歩きで歩けば、疲れないし膝とか腰を痛めることもない。坂道や階段ののぼりで、前になっている脚でなく、後ろになっている脚をただ前に運ぶだけの意識で歩けば、非常に楽に登れることに驚くはずだ。是非、試してみてください。

そして、着物を着ての歩きだから、現代に歩き方のように上半身と下半身を捻って歩いていては、着物が着崩れて非常にみっともない。着物が着崩れるということは、身体も着崩れるということで、身体への余計な負担も大きい。だから、腰痛の原因にもなる。

ナンバ歩きでは、頭上から見て上半身と下半身が捻れないように身体を使う。頭上から見て、腰のラインと肩のラインがクロスしないようにするということである。ナンバ歩きで歩けば、腰への負担も軽くなるということである。

現代風の歩き方は、元気よく見えるかもしれないが、踵や膝、腰への負担が大きく、歩きながら自分の身体を痛めつけ、故障を起こしているのかもしれない。江戸時代までの日本人が、一日に20~40km平気で歩き、それを連日続けていたことを考えると、やはりナンバ歩きは世界に向けて紹介しても恥ずかしくはないだろう。

日本での放映予定は、来年の2月12日の午前1時10分から1時40分までである。主音声は英語だが、副音声が日本語というのも国際的でいいではないか。

12月5日 矢野

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