身体の部屋

ナンバ的身体の使い方

2008 年 3 月 26 日 水曜日

女子モーグルスキーの上村愛子が、グランプリ5連勝を果たし総合優勝を達成した。
上村愛子といえば、長野オリンピックのとき高校生として期待され、ずいぶんと騒がれた。それから10年やっと世界で闘えるようになった。マスコミの騒ぎかたも異常である。長野オリンピック当時の実力を冷静に判断すれば、メダルメダルと騒ぐのはおかしい。何でもかんでも話題にしてしまえばいいというマスコミの姿勢が間違っている。そして、競技者を無責任に持ち上げておいて、後は知らん顔を決め込む。そういうことで潰れていった選手のなんと多いことか。
その点、上村愛子は立派である。あれから10年、もくもくと練習を積み、注目されるかどうかに関わらず、競技を続けてきた。マスコミに踊らされることなく、自分自身を見失わない努力が花開いたといえよう。やはり世界で闘うには、時間というものが必要である。ぽっと出の高校生が、すぐに世界を相手に闘えるほど世界のスポーツ界は甘くはない。長い年月をかけて技術を磨き、準備する必要がある。
モーグルという競技は、こぶこぶの急斜面を滑り、途中に二度のジャンプ台を利用してジャンプをする競技である。テレビで滑りを見て、本人が上体を固定できるようになって安定したとのコメントがあった。私も滑っている映像を見たが、確かに上体を固定しているように見える。しかし、それは外見上固定しているように見えるだけで、実際に上体を固定などさせていたらこぶで跳ね飛ばされて、とてもじゃないが滑れないだろう。
動きというものは、外見上は固定しているように見えても、身体の中は微妙に動かしていなければならない。固定するということが、運動にとっては一番のマイナスになる。固定しようとすれば、余計な力が必要になるし、状況に変化についていけない。
上村の滑りを見て感じるのは、胸郭を微妙に動かしながら外見上は一方向に保っているということである。これは、我々が行っているナンバ的な身体の動かし方と共通するものがある。胸郭を器用にして、骨盤の動きと共鳴させていくということである。こういう動きをするためには、身体の軸など意識していては、とてもじゃないがギクシャクして動けない。身体を動かす場合には、軸など意識するものではない。軸は、動きを分析するときに便利なだけで、実際に動いている本人には何ら必要ないものである。

矢野

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