身体の部屋
丹野麻美の強さの秘密
2007 年 6 月 20 日 水曜日日本学生陸上競技選手権大会を、国立競技場に見に行った。
大学生相手だと丹野麻美の強さは、次元が違っている。200m、400m、400mリレー、1600mリレーに優勝し、200mは学生新記録だし400mは大会新記録であった。
丹野の強さを探ろうと、ウオーミングアップ場に足を運んだ。丹野の動きは、他の選手たちと全く違っていた。まず、歩きを観察すると、ほとんど蹴って歩いていない。後ろになった脚を前に運ぶだけで進んでいる。これは、我々が提唱しているナンバ歩きと共通するものである。動きの合理性を追求していったら、ナンバ的な動きにたどり着くのかもしれない。
丹野の歩きは見事なもので、しばし見とれてしまった。そして、後ろ脚を前に運ぶときに、上体が遅れることなく接地脚の上に上手く乗っている。そして、丹野の走りは、その歩きの延長線上にあることに気がついた。だからといって、丹野の走りを「ナンバ走り」とは言えない。我々が直接に指導していないので、「ナンバ的な走り」というに留まる。
あそこまで見事に歩かれると、これが強さの秘密だと思わずにいられない。努力感など微塵も感じさせず、水が高きより低きに流れるような自然さで歩いている。機会があれば、丹野本人にどういう意識であのような歩きを身につけたか聞いてみたいものである。とても自然に身に付いた動きとは思えない。どう意識すれば、あのように歩けるのか興味のあるところである。
丹野の走りに関しては、完成度も高く洗練されている。しかし、これから記録を伸ばしていこうとすると、筋力を付けたりするのではなく、上体や腕の動きをどう脚の動きと連動、共振させていくかだと思う。
これは、私の意見であるが、全身を走ることに参加さすということである。言葉で言うのは簡単だが、上体と下体、脚と腕の動き、骨盤と胸郭の動きを前にスムーズに速く進むために協力させるのである。そのことが丹野の、今後の課題になるのではないだろうかと思っている。
それにしても丹野は、楽しみな逸材である。400mの日本記録の更新も、近いうちだろう。これから、日本選手権を始め大会が続くので楽しみである。丹野が順調に進歩していくことを見守りながら、応援していこうと思う。
矢野
