矢野先生のコラム
中学生がナンバを
2009 年 11 月 23 日 月曜日先日、大学のほうへ岡山の中学生が尋ねてきた。
当然、アポは取っていたので突然の訪問ではない。夏休み明け頃に電話があり、十一学に修学旅行で東京に行くので、そのときにナンバの話を聞かせてくれということだったので、それは了解した。そして、約束の日の一週間くらい前に、ファックスでナンバに関する質問が届いた。これは、心して答えなければと、準備万端で当日を待った。
当日は、約束した時間に携帯に電話が入り、正門まで来たということで迎えに出た。制服姿の中学生が三人、マスクをして緊張して立っていた。インフルエンザで、修学旅行が延期や中止になっているご時勢、マスクで予防するのは当然かもわからないが、少々気になった。
体育館のほうに案内したが、いちいち「ありがとうございます」と言われると面映いような、気持ちいいような新鮮な気分になった。
ナンバに関する質問は、その歴史、忍者のことなどから始まり、ナンバがなぜ廃れたのかに及んだ。このあたりの歴史を話すのは得意なのだが、中学生に通じるかなというのが心配であった。しかし、サッカー部と野球部だということで、運動の話にアレンジすればわかりやすかったようで、メモを熱心に取りながら一時半ちょっとで質問は終わった。
それでこの取材をどうするのかと思って、修学旅行にも一日くらい観光を離れて自由研究みたいなものをやっているのと聞くと、観光はなく自由研究のみだという。では、東京タワーも皇居にも行かないのかと聞くと、行きたいけど行けないという答えだった。
我々の中学生の頃とは大違いである。我々は、旧所名跡を訪ねることばかりで、とてもではないが研究までは出来なかった。ただただ口を開けて、退屈な説明を聞くのみであった。それにしても、岡山の中学生にも、半分くらいは観光を入れてあげたいものである。何といっても、花の都東京まで来たのだから、土産話の一つも必要だろうが。
それにしても、中学生のくせに、研究とは立派なものである。私なんかは、研究から遠ざかって現場ばかりでお茶を濁しているのに。話を聞いてみると、学校が中高一貫で受験がないので、この修学旅行で取材したことを中心に論文を書くということである。いや論文とは立派である、私などは論文から離れてこんなことばかり書いている。
中学生のこんな真摯な姿勢を見せられると、年齢ではなく正直に頭が下がる。中学生を見て、わが身を正さなければと素直になれる。ナンバの指導をしたというよりも、生きる姿勢を正してもらったという有意義な午後のひと時であった。
11月23日 矢野
