音楽の部屋

ナンバ演奏会を聴いて

2008 年 5 月 7 日 水曜日

月に一度開催している「ナンバ祭り」で、午前中は「ナンバ演奏会」ということで我々のナンバに関係した演奏者を中心にサロン演奏会のようなものを行っている。
演奏者は、私たちの申し出てきた者か私たちが依頼した者である。それぞれコンクールの入賞歴があったり、すでに演奏活動をしていたり、まだ勉強中の者もいる。それは、関係ないことだと思っている。演奏というのは、演奏者の人間性が現れるもので、今現在の人間性が正直に現われていれば、それは聴いている人の心に響くと思っている。上手い下手だけで音楽を聴いていれば、それは楽しみの範囲が狭すぎる。
月に一度、かれら彼女たちの演奏を生で聴く。私のような世間に汚れた人間には、心が洗われる時間である。世間の垢と埃にまみれて生きていて、心が知らぬ間に汚れていることにも無頓着になっている。そんな時、生のピアノやバイオリンその他の楽器から流れてくる音楽を聴くと、しばし心が洗濯されるようである。
私は、クラシック音楽の愛好者ではなかった。桐朋学園に就職するまでは、フォークソングやジャズや演歌くらいを好んでいた。しかし、クラシック音楽を専攻する学生たちを教えるにあたって、少しはクラシック音楽にも興味を覚えるようになった。気がつけば、車の運転中にFMから流れるクラシック音楽を聴いているということもある。ベートーベン・バッハしか知らなかった作曲家も、もっと作曲家がいるんだと広がってきた。演奏家などは、一人も知らなかったのが、今ではグ-ルドやカザルスが好きだといっている。環境とは恐ろしいものである。
クラシック音楽を聴くようになったが、評論家にはなりたくない。自分の好みで、好き嫌いがあればいいと思っている。学生たちには世界に羽ばたいてもらいたいが、自分の演奏が出来ることが一番だと応援している。世界のコンクールで一等賞になれば、それはオメデトウだが、そうでなくても自分の人間性を正直に出している演奏が出来ていれば、それで十分だと思っている。
そして、音楽はライブだ生だと頑なに信じているので、生の音楽に触れ合うのが一番だ。ナンバ演奏会で、生の演奏を聞くのが月に一度の贅沢な時間である。ナンバ演奏会は、なんだか自分のために開催しているような気にもなる。こんな贅沢な時間を、他の人たちにも味わってもらいたい。月に一度の日曜の午前中、仙川の桐朋学園に足を運んでクラシック音楽の生の演奏に触れてみてはいかがですか。

矢野

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