音楽の部屋
台風を楽しむ!
2007 年 9 月 20 日 木曜日私は台風銀座の高知で育ったので、台風の恐ろしさは身をもって体験している。自分の家が床上浸水したこともあるし、近所の家が崩壊するのも見てきた。たかだか台風という気は、さらさらない。台風に対して、畏敬の念さえ抱いている。
しかし、関東で「台風だ台風だ」と騒ぐのは、マスコミの煽りすぎもあるが少々騒ぎすぎである。関東の台風というのは、高知で言えば梅雨時に強く雨が降った程度のものである。それに、本当に台風が恐ろしいのは、台風が通過する正味一時間程度のものである。その時は、部屋の中でひたすらじっとしているしかない。
普通に雨が降っているときは、雨音をピアノの調べのように楽しめばいい。
しかし、台風となると、バケツをひっくり返したように雨が降ることもあれば、横殴りの雨で傘など全く役に立たないこともある。風にしても、看板や屋根瓦を木の葉が舞うように弄んだり、人間さえも空に舞い上げそうなくらいに強く吹く。自然の前での、人間の無力さを骨のずいまで味わわせてくれる。そんな時には、じたばたしても始まらないし、恐れおののいても何にもならない。
ただひたすらに台風に敬意を表してうずくまっていること。
私の台風の楽しみかたは、オーケストラを聴くように楽しむこと。それも、古典的な曲ではなく現代曲の即興演奏を聞くように楽しむこと。雨は屋根や地面を叩きつけるし、濁流は低きを探す。風は電線で真っ二つになり、木立を揺るがす。雨と風が、唸り声を上げて四方八方へと暴れまわる。それだけ暴れまわれば、当然音も出る。しかしそれは、決して不快な雑音ではない。自然が奏でるオーケストラである。自然とは、時には優しく人間を癒してくれるが、時には緩んでいる人間のネジを締めろと叱咤激励してくれるものである。自然は、我々人間の偉大なる師である。その自然が奏でる音楽を、楽しまない手はない。台風だって、楽しめるのである。
矢野
